子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
 背中から前に伸びてきた手が、胸の膨らみを刺激する。

 ソープの泡はスルスルと滑るから、気持ちがよくて堪らなくなり、向きを変えて彼にしがみついた。

「それじゃ洗えないじゃないか」

 クスクス笑いながらあきらめたようにまた背中をなで始めた手にホッとして、彼を見上げた。

「嫌なのか? 俺の子じゃ」

 欲しいに決まってる。溢れる好きだという感情だけで答えれば。

 私と竜神さんの子どもが欲しい……。

「どうなんだ?」

 甘い視線に絡め取られたように、呼吸も苦しくなってごくりと喉が鳴る。

「嫌じゃ、ないです」

 背中から腰に指が這い降りてきて声が出そうになり、唇を噛んだ。

 でこれ以上は我慢できない。感じてしまう顔を見られたくなくて、自分から彼の唇に吸いついた。

 どうしよう。

 どうしてこうなってしまったんだろう。

 もう後には引けないのかな。

 夢中でキスを交わしながら、悲しいほどこの人に惹かれている自分が嫌になる。

 

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