子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
 通称リュウジンさん、うちの社長の名字は同じ読みの辰上(たつがみ)なので区別する意味もあり通称で通っている。

 四歳年上だけれど、つい数カ月前に中途採用で入社したばかりなので、彼は一応私の後輩だ。

 身長は一八〇センチはあるだろう。スラリと脚は長く眉目秀麗。竜神とか疾風とか派手派手しい名前がよく似合うゴージャスなイケメンだ。

 見た目だけじゃない。アメリカの有名大学出身でMBAを取得していて、アメリカの有名な投資銀行にいたという、ご大層な経歴の持ち主でもある。

 家柄はわからないが間違いなく育ちはいいと思う。全身から漂っている気品は庶民のそれとは違うから。

 天に二物も三物も与えられた人。それが竜神さんなのである。

 

 チンと軽快な音を立てエレベーターは三階に止まる。

 竜神さんに名残惜しそうな視線を送る女性たちを残し、私と彼はエレベーターを降りた。

 総務課は三階の廊下を進んだ右側にある。

 ふと、斜め前を歩く竜神さんが私を振り向いた。

「桃井さん、体調は?」
< 7 / 159 >

この作品をシェア

pagetop