子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
「私はご飯。大抵は卵かけご飯かな。週末は匂いを気にしないで刻みネギをたっぷり入れた納豆ご飯」

「いいな。聞いてるとそっちの方が食べたくなってきた」

 じゃあ明日の朝はと言いそうになり、そんな自分に焦る。

「今日は買い物に行こう。野菜も買わなきゃいけないし、明日の朝は納豆で決まりだな」

 え? 明日?

 出来上がったベーコンとスクランブルエッグをお皿に移しながら、彼は私を振り返ってウインクをした。

「早速、一緒に暮らそう」

 う、嘘でしょ。

「ご覧の通り部屋はたくさん余っている」


 確かに。ここは最上階だからなのか、二階もある。

 甘いときを過ごした寝室は一階だけれど、吹き抜けのリビングから階段を登れば二階にひとつ、ふたつと部屋が並んでいる。いったい何部屋あるんだろう。

「俺の書斎は二階だが、ほかに二部屋、一階にも使っていない部屋がある。な? 余ってるだろ?」

 断る理由が見つからない。

「じゃあ――、ひと部屋、お借りしようかな」


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