子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
 疾風さんは車も持っていた。
 当然のように大型の高級車だから荷物もたくさん積める。買い物に出かけたついでに私のアパートに寄り、スーツケースに荷物を詰めて、メダカの引越しまでしてしまった。

 ふたりで夕食を作り、日曜日はレストランで食事。

 何度も何度も愛し合い、ふざけて笑い合った。

 一緒にいるのが楽しくて、片時も離れたくない気持ちになっている自分に気づいたのは、週明け。
 ひとまず自分のアパートに帰ったときだ。

 会社に行けば会えるのに、もう寂しくてしかたがない。


 私ってば、恋にのめり込んでしまうタイプなのかな……。

 今まで誰とも付き合った経験がないから、恋に落ちた自分がどうなってしまうのかわからない。
 それがちょっと不安だ。

 大学四年の冬。親友の好きな人から告白されて、人間関係を拗らせてしまった。

 それからずっと恋は避けている。もしかしたらこの先一生、私は恋もせずに人生を終わるのかとあきらめていたけれど……。

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