子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
その後もずっと右の席が気になり、どうにも落ち着かなかった。
ようやくお昼休みになり、ほっとひと息。
今日はお弁当を作る余裕がなかったから買いに行かないといけない。
ついでに少し頭も冷やしてこよう。
「水咲先輩、コンビニに行ってきますね」
「はーい」
バッグを持って席を立つと疾風さんが後ろをついてくる。
「桃井さん、一緒に行きましょう」
えっ、そんな。
笑って「気にしすぎ」と、耳打ちされた。
「俺はバレてもかまわんが」
「だ、だめですよ」
落ち着け私。今までも一緒に会社を出て途中まで並んで歩いたりしていたでしょ。
変に意識しちゃいけない。いつも通りと言い聞かせる。
「仕事の話をしながら行こう」
「あ、は、はい」
彼は、こんなときまで頼もしい。
「桃井さん、備品の管理方法ですが、少し変えませんか」
「また何か見つけたんですか」
「はい。あれではダメです。管理されているようで誰も管理していない」
仕事の話をするうちに、浮き足立っていた気持ちが落ち着いてくる。さすが竜神さんだ。
なにはともあれ、今日から始まるオフィスラブ。
彼のように、私も心の切り替えができる大人女子にならなきゃね。