子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
「ばっちり元気です。その節は大変失礼しました」
ペコリと頭を下げると彼は呆れたように溜め息をつく。
「元気でなによりです」
昨日もまったく同じ会話を交わしている。
その冷ややかな眼差しにはもう慣れたが、さすがに今回の失態は恥ずかしくて苦笑するしかない。
「あとでしっかりお礼させてくださいね。なにがいいでしょう。欲しい物はありませんか?」
「考えておきましょう。ところで、エントランスの花ですがどう考えても変ですね」
「え? そうですか? 素敵だったと思いますけど」
竜神さんは眉をひそめてチラリと私を睨む。
「気を使う必要はありませんよ」
「あ、いや、そういうわけでは」
「銀座のクラブじゃあるまいし」
「竜神さん、行かれるんですか銀座のクラブ」
「そういうことじゃありません」
ピシャリとそう言って、憮然としたまま彼は総務課の扉を開ける。