子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
 早速時野さんからメッセージが来ていた。

 資料は二日後の会議で使うという。今日の夕方六時頃には、もとのデータと合わせてベースとなる書類を社内メールで送るという。

 となると残業しない限り明日になるが、気がかりなので今日中に完成させようと決めた。

 ただ、疾風さんには見つからないようにしないといけない。彼はきっと反対するから。

「桃井さん、ちょっといいですか」
「はい!」

 思わずギョッとして振り向くと疾風さんが、怪訝そうに眉をひそめる。

「あはは。考え事をしていたところだったので」

「第五営業部の部長のこのタクシー代。旅費交通費になっていますが交際費ですね」

 彼は相変わらずの鋭さで不正を正す。

「なるほど、確かに」

 にっこりとうなずいた彼は「部長には俺から言っておきます」と言う。

「はい。どうぞ、お手柔らかにお願いします」

「それからこれチェックお願いします」

 彼が差し出した稟議書には、付箋紙が貼ってある。

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