子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
【今夜は定時で上がって課長と飲みに行くことになった】

 おお、ちょうどいい。

 稟議書に目を通し、付箋紙の空きスペースに返事を書いた。

【了解です。私は少し残業して、たまった雑用を終わらせてしまいますね】

 これで彼に見つからずに資料作りができる。

 

 予定通り疾風さんと課長は定時で帰り、私は夜の七時まで残業し、無事に頼まれた資料を完成させた。

 夕食はひとりだからあるもので簡単に済ませるとして、本屋に寄った。

 少しずつでも現実的に考えてみようと思う。

 妊娠についてと、教養について。

 もし子どもができて結婚となれば、私は彼の妻になる。

 彼と同等は無理でもそれなりの品格は身につけたい。子どもができたらその子にも教えてあげたいし。

 まずは教室に通わなくても習得できそうなものを教養コーナーで探し、ハウツー本をいくつか買ってみる。食事のマナーや、所作や常識など。

 マンションに帰ってすぐ食事とお風呂も済ませ、二階の自分の部屋に籠り、早速本を広げる。

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