子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
 もしやこれは。やきもち?
 私が藤原専務を好きだから。

「うん。行きたかったなー、専務と飲んだら楽しそうー」

 にやりと口角を上げた彼は両手を上げて私に襲いかかる。

「こいつめ」

 あはは、やっぱり。

「やめて!」

 脇腹をくすぐられながら、お腹が痛くなるほど笑って。

 そしてキスをした。

「一緒に入ろう」

 お風呂はさっき入っちゃったのに。

 私の手を引いてバスルームに向かう疾風さんを見上げ、心に誓う。

 ずっと一緒にいたい。たとえどんな御曹司でも、あなたとずっとこれからも。

 だから私、がんばるね。

 

 そして――。

 さあすべてはこれからと思った矢先。事件は起きた。

「時野さんからですか?」

「資料がないって、今、内線があったの。円花ちゃん知ってる?」

「どんな表紙の資料ですか?」

「萌黄色って言ってたわ。藤原専務の資料なんですって」

「えっ? 萌黄色?」

「円花ちゃん? 知ってるの? その資料」

 萌黄色の表紙。藤原専務の資料……。

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