子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
「あなた、自分のミスを私のせいにするつもり?」

「そ、そういうわけでは」

 時野さんは私の腕を掴み給湯室に行くと、私を冷蔵庫に叩きつけるようにして手を離した。

 思わず「イタッ」と声が漏れる。

「あなた、ちょっと調子に乗ってるんじゃない?」

 どうしてそうなるのか、反論するにもなにもどう言っていいのか。

「最近随分と竜神さんの恋人気取りらしいけど、わかってる? 全然釣り合っていないわよ? 見ていて痛々しいし、恥ずかしい」

 だとしてもそれと資料とは関係ないのに。

 掃き捨てるように溜め息をついた彼女は「責任とってもらうわよ」と両腕を組む。

「藤原専務には、あなたのミスだと伝えておきます」

 ツンと澄ました彼女はハイヒールの高い音を立てながら大股で給湯室を出ていった。



 どうしよう。

 とりあえず急いで自分の席に戻り、パソコンに向かった。

「桃井さん」

 振り返ると、竜神さんが心配そうにジッと見る。

「どうしました? また時野?」

「私の、ミスです」

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