子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
仕組まれたとしても、悪いのは私……。
疾風さんの言うとおり、もっと時野さんに気をつけていればこうはならなかった。
デスクトップにあるゴミ箱を見たけれど残っていない。
どうしよう。会議は一時間後なのに。
もとの資料は、どうしてサーバーにないの? そっちは私は消していなかったはずなのに。
パソコンを見つめるが、頭の中は真っ白でなにも考えられない。
どうしよう、どうしたら。
ふいに、私の腕を疾風さんの手が掴んだ。
「落ち着いて。とにかく事情を説明してごらん」
涙を堪えて振り向くと、彼が「なんとかしよう」とうなずく。
「まず、その資料のデータはどこにあった? 自分のパソコンか? サーバーか?」
「サーバーです」
メールでもらってサーバーに記憶した。その方がパソコンに不測の事態が起きても安心だから。
「最後に記憶したのはいつ?」
「えっと、確か一昨日です。いち日早く完成させたので、一昨日作って、消したのは昨日です」
二日前、時野さんには変更があるかもしれないから一日待ってと言われたけれど、私はその日のうちに作った。
「よし、それならきっと大丈夫。サーバーのデータは毎日バックアップをとるって、俺に教えてくれましたよね?」
「あ!」
左から水咲先輩も「円花ちゃん」と、うなずく。
疾風さんは、内線電話をかけた。
疾風さんの言うとおり、もっと時野さんに気をつけていればこうはならなかった。
デスクトップにあるゴミ箱を見たけれど残っていない。
どうしよう。会議は一時間後なのに。
もとの資料は、どうしてサーバーにないの? そっちは私は消していなかったはずなのに。
パソコンを見つめるが、頭の中は真っ白でなにも考えられない。
どうしよう、どうしたら。
ふいに、私の腕を疾風さんの手が掴んだ。
「落ち着いて。とにかく事情を説明してごらん」
涙を堪えて振り向くと、彼が「なんとかしよう」とうなずく。
「まず、その資料のデータはどこにあった? 自分のパソコンか? サーバーか?」
「サーバーです」
メールでもらってサーバーに記憶した。その方がパソコンに不測の事態が起きても安心だから。
「最後に記憶したのはいつ?」
「えっと、確か一昨日です。いち日早く完成させたので、一昨日作って、消したのは昨日です」
二日前、時野さんには変更があるかもしれないから一日待ってと言われたけれど、私はその日のうちに作った。
「よし、それならきっと大丈夫。サーバーのデータは毎日バックアップをとるって、俺に教えてくれましたよね?」
「あ!」
左から水咲先輩も「円花ちゃん」と、うなずく。
疾風さんは、内線電話をかけた。