子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
「さあお昼よ、円花ちゃん公園に行く?」
「はい。そうですね」
天気がいいのもあるが、人には聞かれたくない話をするには公園が一番だ。
ベンチに腰を下ろすと水咲先輩が「悪魔ね彼女」と言った。
「やっぱり時野さんは普通じゃないわ」
水咲先輩は眉間に縦皺を寄せる。
「しかも資料を作らせた上に廃棄させるなんて。それを堂々と知らないふりするっていうんだから、もう悪魔としか言いようがないわ」
確かに悪魔だ。あんなふうに堂々と嘘をつく人がこの世にいるなんて、夢にも思わなかった。
藤原専務の横に立ち、彼女はにっこりと笑みを浮かべのも怖かった。
ほんの少し前に激昂したというのに片鱗も見せない微笑みは、悪魔のそれとしか言いようがない。
いずれにせよ今回ばかりは私もさすがに思い知った。