子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
「うまそうだ。食べよう」
事件のことは食事中にする話でもないので、それきり話題にはならなかった。
でも、ベッドに入ったとき。
「しかし時野は本当にどうしようもないな」と疾風さんが呆れたように言う。
「あんなやつが秘書課にいるのがおかしい」
さすがに私も懲りたので否定はしないが、彼女は大切な取引先のお嬢さんだ。問題があったとしても、十分な存在意義がある。
彼は溜め息をつきながら、私を抱き寄せた。
「なぁ、円花。入籍して公表しないか?」
疾風さんは軽くキスをする。
心配そうに私を見つめて髪をなでながら「心配なんだ」と言う。
「まだだめ。約束したでしょ?」
入籍は子どもができたらでいいという私の気持ちは変わらない。
「よし。じゃあ今夜もがんばるか」
妖しく目を細める疾風さんから逃げようとするが。
「そ、そういう意味じゃない」
呆気なく捕まって、唇が重ねられる。