子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
 以前のお花も綺麗ではあったがどこか近寄りがたく、今の装花を見た時のように晴れやかな気持ちにはならなかったから。

「以前の派手派手しいのはどうせ時野が決めたんだろう。ったくセンスの欠片もない」

 眉をひそめて、疾風さんはムッとする。

 散々な言われようだが、実際決めていたのは時野さんらしい。

 私は以前の花もそこまで嫌いじゃなかったですよ? と、心の中でフォローしてみる。時野さんにではなく、お花に。

 食事が終わりふたりで食器を片付けて、デザートのパイナップルを出す。

 そしていよいよ本題に入った。

「あのね、疾風さん。私、疾風さんのご実家にお邪魔してみたいの」

 パイナップルを口にいれようとしていた疾風さんは、ハッとしたように手を止めて私を見る。

「そうか。うんうん。わかったわかった」

 疾風さんはすごくうれしそうに頬を上げながらパイナップルを口に入れた。

 彼は私の気持ちがそうなるのを、催促せずに待ってくれていたのだ。

「よし、早速電話してみるよ」

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