子作り婚の行方。～年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋～

「俺はアメリカにいただろ、妹たちとは時々しか顔を合わせていないんだ。会う度に見違えるほど成長していて驚くよ」

　どこかお兄さんみたいと感じたのは妹さんがいるせいかもしれないね。

　きっと美人なんだろうな。

　会えないのは残念だけれど急に決まったのだから仕方がない。

「昨日電話したら、円花に会いたいから習い事は休むって言ってたが、また会いに行くから休まないように止めたんだ。あいつらがいるとうるさくて落ち着いて話もできないし」

「そういえば中学生の頃ってなに見ても笑ってたかも」

　なんて話をしているうちに、辰上家に到着したらしい。

　車がゆっくりと車道から路肩に逸れていく。

「ここ」

「え……。家が見えない？」

　高い塀はどこまでも続き、堅く閉ざされた門扉は頑丈そうに行手を阻んでいる。

　車がゆっくりと門の前ギリギリのところまで近づいたとき、門扉がゆっくりと開き始めた。

　中に入ってようゆく見えた建物は、純和風の邸だった。

　まるで老舗の旅館のようだ。