泡沫の恋は儚く揺れる~愛した君がすべてだから~

二日ほどして海斗の熱は下がり、元気いっぱい保育園へ行く日々が戻ってきた。
数日、朝の時間を気にせず寝ていたためか、なかなか起きることができなかった海斗を引きずるように保育園へ連れて行き、紗良は時間に追われながら会社へ急ぐ。

「おはようございますっ」

「おはよう。大丈夫?石原さん声かすれてない?」

「そうですか?走ってきたからかな?」

今日もギリギリの時間になってしまい駐車場から思い切り走った。
海斗と一緒にダラダラと休日を過ごしたためだろうか、体がギシギシと音を立てている気がする。

(運動不足だわ……)

はぁ、と息を吐きながらたまっている仕事に手を付けた。
相変わらず仕事量は多い。
それに加えて、海斗の体調不良で一日休暇を取ってしまったため、その分も積みあがっている。

パソコンに向かってカタカタとデータを打ち込んでいたが、昼になるにつれてどうにも喉に違和感を覚えた。
いがらっぽいと思っていたのだが、それはだんだんとチクチクイガイガと刺さるような痛みに変わっていく。

(……海斗のうつったかもなぁ。今日は早く寝よ)

と余裕だったのだが、海斗を迎えに行って家に帰る頃にはクタクタになっていた。
先ほどから寒気もするし、もしかしたら熱が出るのかもしれない。
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