泡沫の恋は儚く揺れる~愛した君がすべてだから~
杏介の実家の前には車が一台止まっていたが、端に寄せられてもう一台止められるスペースが開けてあった。杏介はそこに丁寧に車を付ける。
インターホンを鳴らすとすぐに玄関がガチャリと開く。
出てきたのは杏介の母で、杏介と目が合うと、お互いぎこちなく無言のまま。
ここは紗良がまず挨拶をすべきと口を開いたときだった。
「こんにちは!」
海斗がずずいと前に出て元気よく挨拶をした。
慌てて紗良も「こんにちは」と続く。
杏介の母は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに小さく微笑む。
「こんにちは。遠いところよくいらっしゃいました。どうぞ上がってくださいな」
ペコリと頭を下げて、紗良と海斗は中へ入った。
杏介もそれに続きながら、「ただいま」と小さく呟いた。
杏介の緊張感がひしひしと伝わってくる。
紗良はそっと杏介を見る。
いつになく緊張した面持ちの杏介は紗良の視線に気づくとようやくふと力を抜いた。
「大丈夫。ちゃんとするから」
紗良に聞こえるだけの声量で囁く。
それは嬉しいことだけれど、気負いすぎもよくないと思う。でもそれを今、杏介に上手く伝えることができず紗良はもどかしい気持ちになった。
インターホンを鳴らすとすぐに玄関がガチャリと開く。
出てきたのは杏介の母で、杏介と目が合うと、お互いぎこちなく無言のまま。
ここは紗良がまず挨拶をすべきと口を開いたときだった。
「こんにちは!」
海斗がずずいと前に出て元気よく挨拶をした。
慌てて紗良も「こんにちは」と続く。
杏介の母は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに小さく微笑む。
「こんにちは。遠いところよくいらっしゃいました。どうぞ上がってくださいな」
ペコリと頭を下げて、紗良と海斗は中へ入った。
杏介もそれに続きながら、「ただいま」と小さく呟いた。
杏介の緊張感がひしひしと伝わってくる。
紗良はそっと杏介を見る。
いつになく緊張した面持ちの杏介は紗良の視線に気づくとようやくふと力を抜いた。
「大丈夫。ちゃんとするから」
紗良に聞こえるだけの声量で囁く。
それは嬉しいことだけれど、気負いすぎもよくないと思う。でもそれを今、杏介に上手く伝えることができず紗良はもどかしい気持ちになった。