泡沫の恋は儚く揺れる~愛した君がすべてだから~
「あの、僕は平日休みが多いんですが……」

「すみません、私は平日仕事で海斗を保育園に迎えに行くのも十八時くらいなんです」

「えっ、平日仕事をしてて、土日もラーメン店で働いているんですか?」

「はい、実はそうなんです」

「それは……大変ですね」

紗良は曖昧に微笑む。

海斗と生活する上で大変だと思うことはあっても、自分の仕事を大変だと思うことはなかった。むしろそうしなくては海斗を十分に養えないという使命感の方が大きく、とにかく日々がむしゃらだったのかもしれない。

「先生さえご迷惑でなければ、平日に会ってもらってもいいですか?」

「ええ、それは、全然構いませんよ」

「えっと、じゃあ……」

紗良はスマホのスケジュールアプリを開く。
杏介も同じくアプリを開き、日程を擦り合わせた。
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