泡沫の恋は儚く揺れる~愛した君がすべてだから~
「じゃあまたプールで。早く寝て風邪引かないようにするんだぞ」
「わかったー」
杏介は海斗の目線に合わせるよう屈み、ニコッと爽やかな笑みで海斗の頭をくしゃっと撫でる。
海斗と杏介が笑い合うのを見て、紗良は杏介が子供たちに慕われているのがわかる気がした。
海斗の生き生きした表情を引き出しているのはまぎれもなく杏介なのだ。
(勇気を出して頼んでよかったな)
ずっと杏介に対して申し訳ない気持ちでいたけれど、今は感謝の気持ちでいっぱいだ。
「海斗、これはお土産だよ。ちゃんと夜ご飯食べてからな」
「ありがとう!さらねえちゃん~おみやげもらった~」
「えっ!すみません」
「いえ、コンビニで適当に買っただけなので」
海斗が受け取った袋を覗くと、コンビニスイーツがたくさん入っている。
「うわー、美味しそう!ありがとうございます。じゃあ帰ろっか、海斗」
「えー。せんせーともっとあそびたい」
「もう遅くなっちゃうから。先生にもらったスイーツ食べれなくなるよ」
「えー」
「海斗、またプールで待ってるな」
「わかったー」
名残惜しさも感じながら、バイバイと手を振る。
紗良はペコリとお辞儀をして車に乗り込んだ。
杏介は紗良の車がコンビニを出るまで見送っていた。