泡沫の恋は儚く揺れる~愛した君がすべてだから~
十七時半のチャイムと同時にパソコンをシャットダウンし、「お疲れ様です」と告げて足早に会社を出る。
夕方の渋滞をくぐり抜け保育園へ海斗を迎えに行き、家に帰ると十八時半近く。夕飯は母が用意してくれることが多くてそれはとてもありがたく助かっているのだが。
「海斗お風呂入るよー。って、寝てる?」
洗い物をしている間に、大人しくテレビを見ていた海斗はいつの間にか床にゴロンと寝転がり、すやすやと寝息を立てていた。
「もー、仕方ないなぁ」
こんなことは日常茶飯事。
初めは戸惑ったり抱っこしただけで筋肉痛になったりしたけれど、最近はもう慣れっこだ。
寝室の布団を雑に敷いて、海斗を担いで運ぶ。その間もまったく起きない海斗は、きっと朝まで爆睡だろう。
「最近暑いから、海ちゃんも疲れてるのねぇ」
「汗かいてるからお風呂には入れたかったけど。朝シャワーでもさせるか」
「一日お風呂入らなくったって死にやしないわよ。紗良だって子供の時はお風呂に入らずよく寝ちゃってたわ」
「子供あるあるなのね?」
そういうことも、ようやく慣れてきたというかわかってきたというか。
紗良なりに理解できてきた事柄だ。