泡沫の恋は儚く揺れる~愛した君がすべてだから~
写真を撮ってもらったことにお礼を告げると、海斗が目をキラキラさせながらスタッフに尋ねる。
「ジンベエザメいる?」
「ごめんね、ここにはジンベエザメいないの。でももうすぐイルカショーが始まるから、ぜひ見ていってね」
「イルカ?みたい!」
「じゃあ行こっか」
海斗は右手を杏介に、左手を紗良に向ける。
挟まれるように手を繋ぐと、テンション高くぴょんぴょんと飛び跳ねた。
(本当に、親子みたい)
右手には海斗。その横には杏介。
事情を知らなければ先ほどのスタッフのように、親子に見えるのだろう。
妙にくすぐったいような気持になって、紗良はふふっと微笑む。
「なに?さらねえちゃん」
「ん?イルカショー楽しみだね」
「かいとねぇ、イルカにのるんだー」
「海斗、イルカに乗るためには泳げるようにならないとダメだぞ」
「かいと、もうおよげるし」
「えー、本当?」
ドヤ顔をする海斗だが、いつもプール教室でアームリングとヘルパーをつけて溺れそうなフォームで浮いている海斗を思い出して、紗良と杏介はクスクスと笑った。