泡沫の恋は儚く揺れる~愛した君がすべてだから~
「せんせー、かいともあれやりたい!」
と、イルカ調教師がイルカの背に乗って泳ぎ、一緒に大ジャンプをしているところを指差す。
「せんせーはできる?」
「さすがに先生もあれはできないかも。でもやってみたいよね」
「やってみたい!」
「えー、絶対怖いよ。なんでそんなのやりたいって思うの?」
「あはは。何だろうね?スリルを楽しみたいっていうか、単純に気持ちよさそうでもあるなぁ」
「かいとはねぇ、イルカさんにのりたい」
「私にはわからない気持ちだわ」
杏介と海斗の盛り上がりについていけない紗良は意味がわからないと首を振る。
けれど二人の楽しそうな姿が見られて、紗良の気持ちも弾みがちだ。
「ところで海斗、シャツがびしょ濡れじゃないの」
「びったんこー」
「さすがに濡れすぎだな」
「どうしよう、着替えなんて持ってきてないし」
「さらねえちゃん、パンツはぬれてない」
元気よく答える海斗はおもむろにズボンをずりっと脱ぐ。
まだ会場にはたくさんの人がいるというのに、海斗は恥ずかしげもなくパンツを晒した。
慌てるのは紗良だけだ。
「ちょっ、海斗!ここでズボン脱がないの!」
「せんせー、みて。パンツ!」
紗良が海斗の服を直そうとするも、その手をすり抜けて海斗は杏介に見せびらかす。
「海斗~、それが面白いのは男子だけだ。紗良姉ちゃんを困らせるなよ」
「かいとのパンツかっこいいのに。さらねえちゃんのパンツはかわいいよ」
「ちょ、なっ、かっ、 海斗っ!」
「あはは。そりゃ紗良姉ちゃんは可愛いから、何履いても可愛いだろ」
「きっ、きょっ、杏介さんまでっ」
真っ赤になった紗良はやっぱり可愛いなと眺めつつ、杏介はささっと海斗のズボンを直した。