泡沫の恋は儚く揺れる~愛した君がすべてだから~
好きな気持ち
職場で回ってきた忘年会のお知らせメールに、紗良は悩む間もなく欠席と返答をした。
と同時に今回幹事である依美がすっ飛んでくる。
「ちょっとちょっと~。紗良ちゃんもたまには飲み会出なよ~。ていうか少しくらい悩みなよ」
「うーん、機会があれば、また……」
「却下!もうちょっと考えてから返事しなさい!」
「ええ~?」
悩むことなんてないのに……と思いつつも、確かに職場の行事ごとにあっさりと返事をしすぎなのかもと考え、一応頭を捻ってみる。
けれどやはり参加するということが現実的ではなく、申し訳なくもそのまま欠席となった。
社会人になってから飲み会の類は一度も参加したことがない。
それが嫌かと言われれば、そういうわけでもなくて……。
学生の時に友達とご飯を食べに行ったりすることはあったけれど、社会人になってからそういうこともすっかりなくなった。
急に誘いがなくなったわけではない。
行きたくないわけではない。
だったらどうしてと、その根底を辿れば『海斗がいるから』に終始してしまうわけなのだが。
自分が育てると決めたのだから、母にも迷惑はかけられない。
だから別にいいのだ、飲み会なんて行かなくたって。
それで職場環境が悪くなるわけでもないし、紗良は海斗と母親と、三人で年越しをして慎ましやかな新年を迎える。
それがいつもの流れなのだから。
ただ今年はいつもとはちょっと違って――。
と同時に今回幹事である依美がすっ飛んでくる。
「ちょっとちょっと~。紗良ちゃんもたまには飲み会出なよ~。ていうか少しくらい悩みなよ」
「うーん、機会があれば、また……」
「却下!もうちょっと考えてから返事しなさい!」
「ええ~?」
悩むことなんてないのに……と思いつつも、確かに職場の行事ごとにあっさりと返事をしすぎなのかもと考え、一応頭を捻ってみる。
けれどやはり参加するということが現実的ではなく、申し訳なくもそのまま欠席となった。
社会人になってから飲み会の類は一度も参加したことがない。
それが嫌かと言われれば、そういうわけでもなくて……。
学生の時に友達とご飯を食べに行ったりすることはあったけれど、社会人になってからそういうこともすっかりなくなった。
急に誘いがなくなったわけではない。
行きたくないわけではない。
だったらどうしてと、その根底を辿れば『海斗がいるから』に終始してしまうわけなのだが。
自分が育てると決めたのだから、母にも迷惑はかけられない。
だから別にいいのだ、飲み会なんて行かなくたって。
それで職場環境が悪くなるわけでもないし、紗良は海斗と母親と、三人で年越しをして慎ましやかな新年を迎える。
それがいつもの流れなのだから。
ただ今年はいつもとはちょっと違って――。