泡沫の恋は儚く揺れる~愛した君がすべてだから~
動物園には芝生の広場もあり、たくさんの家族連れで賑わっている。
紗良たちもまわりに植えられている木の影を狙って持ってきたレジャーシートを敷いた。
ちょっとした秘密基地のようで海斗のテンションも高くなる。持ってきた水筒のお茶をグビグビと飲んでからリュックをあさり出した。
「まさか紗良があんなにも馬がだめだなんて知らなかったな」
「実は動物も虫も苦手なの」
「じゃあ動物園は嫌だった?」
「ううん。檻に入っていれば大丈夫だし。海斗が楽しそうだからそれでいいよ。でもさすがに馬はきつかったかな。さ、お弁当にしよ」
「お弁当作ってきてくれたんだ?」
「大したものじゃないけど。杏介さん嫌いな食べ物なかった?」
「ないよ。何でも食べる」
ドキドキと緊張しながらお弁当箱を取り出すと横から海斗が「はやくはやくー」と急かす。
蓋を開ければお弁当独特の柔らかいにおいがふわっと香った。
「やったー!タコさんウインナー!」
「こら海斗!いただきますは?あっ、ほら、ほうれん草も食べなきゃダメよ。……杏介さんどうかした?」
お弁当を見てじっと固まってしまった杏介に、紗良は恐る恐る尋ねる。
もしかして手作り弁当は迷惑だったのかもと心配になったのだが、どうやらそうではないようだ。
「いや、なんか感動っていうのかな。タコさんウインナー初めて見たから。こんな感じなんだ……と思って」
「せんせー、タコさんウインナーすき?さらねえちゃん、カニさんウインナーもつくれるよ。あとおはな」
「そうなんだ、それはすごいな」
「えっ!ただ切れ目入れるだけなんだけど。簡単すぎて恥ずかしいなー」
「いや、すごいよ」
「海斗が喜ぶかなって練習したの。保育園たまにお弁当の日あるし」
「海斗は幸せ者だな」
「そうかな?そうだといいけど」
杏介はタコさんウインナーをまじまじと眺めてから大事そうにひとつ口に入れた。
ひと噛みひと噛み噛みしめると、じゅわっと肉の味が広がっていく。
素材は普通のウインナーと変わりないというのに特別に美味しく感じるようだ。
「うん、美味い!」
「……ありがとう」
パクパク食べる海斗と杏介の姿を見ているだけで紗良は幸せで満たされていくようだった。
紗良たちもまわりに植えられている木の影を狙って持ってきたレジャーシートを敷いた。
ちょっとした秘密基地のようで海斗のテンションも高くなる。持ってきた水筒のお茶をグビグビと飲んでからリュックをあさり出した。
「まさか紗良があんなにも馬がだめだなんて知らなかったな」
「実は動物も虫も苦手なの」
「じゃあ動物園は嫌だった?」
「ううん。檻に入っていれば大丈夫だし。海斗が楽しそうだからそれでいいよ。でもさすがに馬はきつかったかな。さ、お弁当にしよ」
「お弁当作ってきてくれたんだ?」
「大したものじゃないけど。杏介さん嫌いな食べ物なかった?」
「ないよ。何でも食べる」
ドキドキと緊張しながらお弁当箱を取り出すと横から海斗が「はやくはやくー」と急かす。
蓋を開ければお弁当独特の柔らかいにおいがふわっと香った。
「やったー!タコさんウインナー!」
「こら海斗!いただきますは?あっ、ほら、ほうれん草も食べなきゃダメよ。……杏介さんどうかした?」
お弁当を見てじっと固まってしまった杏介に、紗良は恐る恐る尋ねる。
もしかして手作り弁当は迷惑だったのかもと心配になったのだが、どうやらそうではないようだ。
「いや、なんか感動っていうのかな。タコさんウインナー初めて見たから。こんな感じなんだ……と思って」
「せんせー、タコさんウインナーすき?さらねえちゃん、カニさんウインナーもつくれるよ。あとおはな」
「そうなんだ、それはすごいな」
「えっ!ただ切れ目入れるだけなんだけど。簡単すぎて恥ずかしいなー」
「いや、すごいよ」
「海斗が喜ぶかなって練習したの。保育園たまにお弁当の日あるし」
「海斗は幸せ者だな」
「そうかな?そうだといいけど」
杏介はタコさんウインナーをまじまじと眺めてから大事そうにひとつ口に入れた。
ひと噛みひと噛み噛みしめると、じゅわっと肉の味が広がっていく。
素材は普通のウインナーと変わりないというのに特別に美味しく感じるようだ。
「うん、美味い!」
「……ありがとう」
パクパク食べる海斗と杏介の姿を見ているだけで紗良は幸せで満たされていくようだった。