俺様御曹司の契約妻になったら溺愛過剰で身ごもりました

「愛のない契約結婚は卒業して、俺と本当の夫婦になってくれ。イエスと言ってくれるまで、どこまででも追いかける」

　なんとも善らしいストレートなプロポーズだった。日菜子の胸が甘く高鳴りはじめる。

「で、でも南さんのことは」

（私の誤解だったってこと？）

「南？　なんであいつの話になるんだ？」

　善に促され、日菜子はあのホテルで見てしまったことを打ち明ける。
　話を聞き終えた善はがっくりと肩を落とした。

「俺をさけてた理由はそれか……。俺が南とそういう関係だとでも思ったのか？」
「だって、南さん泣いてて……私との結婚のせいでふたりは泣く泣く別れることになったのかなとかいろいろ想像してしまって」

　善は前髪をかきあげ、ぷっと軽く噴き出す。

「恋愛経験が少ないと言うわりには想像力たくましいな。あのゲームの影響か」

　善はいまいましそうにつぶやいたかと思うと、理路整然と説明しはじめた。