俺様御曹司の契約妻になったら溺愛過剰で身ごもりました
エピローグ
エピローグ

「それじゃ、乾杯!」

 中野の声でみんながグラスを合わせる。今夜は久しぶりの設計チームの飲み会だ。酒を飲めない日菜子に気を使ってくれたのか、店は居酒屋ではなく小洒落たイタリアンレストランだ。オレンジジュースに口をつけた日菜子に南が言う。

「ここから、産後も一年くらいは飲めないのよね? 長い、つらい!」

 かわいらしい顔に似合わず酒豪な南にとって、禁酒は拷問らしい。

「そういえば、善は来ないの?」

 南は日菜子に聞いたが、答えたのは中野だ。

「あぁ。誘ったんだけど、俺がいたら仕事の愚痴が言いづらいだろうって二次会の軍資金だけくれたよ。社長らしいよな」
「別に善がいたって気にせず文句くらい言うのにね~」

 南の言葉にみんなが笑う。設計チームは根が明るい人間ばかりなので、善がいてもいなくてもネガティブな話題はほとんど出ない。

 ほどほどに酒が進んだタイミングで日菜子は南に切り出した。

「南さん!」
「なに? どうしたの、真面目な顔しちゃって」
「先日は失礼な態度を取ってしまって……申し訳ありませんでした」

 勝手な誤解で嫉妬して八つ当たりのような言動をしてしまったことを、あらためて詫びた。南は大笑いで首を左右に振る。
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