俺様御曹司の契約妻になったら溺愛過剰で身ごもりました

「日菜子ちゃんになにか恨みでも？」

　南が追及すると、中野は苦笑して肩をすくめる。

「日菜子ちゃんに恨みはないけどね」
「じゃあ誰に恨みがあるんです？」

　悪びれもせずに彼は答える。

「もちろん社長に」
「善に？」

　南は眉をひそめた。彼がなにを考えているのか、さっぱりわからない。中野はふふっと楽しそうに笑む。

「そう。俺の好きな子の心を長年独占してるくせに、自分だけあっさり美人の奥さんと幸せになるってずるくない？　少し引っかき回すくらいのいたずらは許されるかと思って」
「ゆ、許されないですよ。そもそも中野さんが……」