俺様御曹司の契約妻になったら溺愛過剰で身ごもりました
「って、ごめん。また雑談しちゃった」
彼女はかわいらしく首をすくめる。
「えっと、顔を交換するのは無理だと思いますが……」
困り果てたあげく、おもしろくもなんともない返しをしてしまった。南は面食らったように目を瞬いている。
「うん。無理なのはわかってるんだけどね」
(あぁ、失敗した。ていうか、美人を謙遜すべきところだったのかも! また間違えた)
クールな表情を崩してはいないけれど、内心は激しく動揺していた。
「ははっ。ずいぶん、おもしろいやつ入社させたな」
ふいに割り込んできた笑い声に日菜子は振り返る。
背がすごく高い。百八十五センチくらいはありそうだ。男性的でシャープな顔立ちに、スタイリッシュなストライプのジャケットがよく似合っている。口調はフランクだけれど、育ちのよさがにじみ出ていた。
彼が誰なのかは、すぐにわかった。
(この人が社長、大狼建設の御曹司か)
五つ年上だと聞いているけれど、その若さには似つかわしくない落ち着きとオーラを備えている。就任からたった数年で、ルーブデザインを業界の注目株に押しあげただけのことはあるようだ。
彼は日菜子の顔を見て、わずかに表情を変えた。が、すぐに穏やかな笑みを浮かべて自己紹介をする。
「新入りだろ? 俺がここの社長の大狼善だ」
彼女はかわいらしく首をすくめる。
「えっと、顔を交換するのは無理だと思いますが……」
困り果てたあげく、おもしろくもなんともない返しをしてしまった。南は面食らったように目を瞬いている。
「うん。無理なのはわかってるんだけどね」
(あぁ、失敗した。ていうか、美人を謙遜すべきところだったのかも! また間違えた)
クールな表情を崩してはいないけれど、内心は激しく動揺していた。
「ははっ。ずいぶん、おもしろいやつ入社させたな」
ふいに割り込んできた笑い声に日菜子は振り返る。
背がすごく高い。百八十五センチくらいはありそうだ。男性的でシャープな顔立ちに、スタイリッシュなストライプのジャケットがよく似合っている。口調はフランクだけれど、育ちのよさがにじみ出ていた。
彼が誰なのかは、すぐにわかった。
(この人が社長、大狼建設の御曹司か)
五つ年上だと聞いているけれど、その若さには似つかわしくない落ち着きとオーラを備えている。就任からたった数年で、ルーブデザインを業界の注目株に押しあげただけのことはあるようだ。
彼は日菜子の顔を見て、わずかに表情を変えた。が、すぐに穏やかな笑みを浮かべて自己紹介をする。
「新入りだろ? 俺がここの社長の大狼善だ」