俺様御曹司の契約妻になったら溺愛過剰で身ごもりました

　彼が男にも女にもモテるのはよくわかる。強気な自信家だけど、それだけの実力を備えているせいか嫌みはない。包容力と頼りがいは百点満点、理想の上司といった人物だ。

（でも、私はどうも苦手で……今も、彼といると胸がザワザワする）

「あの！」

　覚悟を決めて、善の顔を見る。

（家の都合ってことは、つまり社長も断りきれずに来ただけなのよね）

「時間の無駄だと思うので、解散しませんか？　ダメだった理由は、私の外見が好みじゃないでも、愛想のない性格が無理でも、適当につけてくださって構わないので」

　両親は自分を溺愛している。いくら相手が大狼建設でも、うまくいきそうにない相手との結婚を無理強いしたりはしないだろう。
　善は腕を組み、背中をゆったりとソファに預けた。日菜子を見て意味ありげにニヤリとする。

「俺、嘘つくの嫌いなんだ。お前の外見はめちゃくちゃストライクだし、ツンとした雰囲気も昔飼ってた猫に似てて好みだしな」
「ス、ストライク……猫……？」