俺様御曹司の契約妻になったら溺愛過剰で身ごもりました
（善さんのおかげで女の子になれている気がする）

　悠馬に対しても、こんなふうに素直になれていたら違う未来もあったのかもしれない。ふと、そんなふうに思った。

「で、どこ行きたい？」

　まぶしいほどの笑顔で善が聞く。

「善さんの好きな場所やことを知りたいです」
「俺の？　そう言われると逆にハードルあがるな」

　彼は少し困ったような顔をしながらも、日菜子をある場所に連れていってくれた。

「球場？」
「そう。ちょうどデイゲームやってるから、一緒に観戦しよう」
「野球が好きなんですね」
「野球少年だったからな」

　日菜子はクスクス笑いながら言う。

「似合いすぎます。じゃあ坊主頭だったんですか？」
「もちろん」

　元気いっぱいの少年時代の彼が目に浮かぶようだ。

「夏は涼しそうでいいですよね」
「と思うだろ？　太陽光が直撃するから暑いぞ。冬は寒いし、女子ウケは悪いしな」

　首をすくめて彼は苦笑する。
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