俺様御曹司の契約妻になったら溺愛過剰で身ごもりました

　夕食は善が予約してくれた和食の店に行った。上品で優しい味つけで、とてもおいしかった。

「ごちそうさまでした」
「暑くて疲れただろうし、今日はまっすぐマンションに帰るか」
「はい」
「車回してくるから、待ってろ」

　近くのパーキングに停めた車を取りにいった彼を日菜子は店の前で待つ。

（あぁ、さすがに食べすぎたかも）

　胃の辺りが重苦しく、額にうっすらと冷や汗がにじむ。

（食べすぎで気持ちが悪いなんて、恥ずかしくて善さんには言いづらいな）

　日菜子の前で車を停め、素早く運転席からおりてきた彼は顔を見るなり言った。

「もしかして具合悪いか？」

　すぐに見抜かれてしまった。日菜子は素直にうなずく。

「おいしいからって、欲張りすぎちゃいました」
「球場が結構暑かったし、体力消耗したかな。安全運転で帰るけど、きついときは無理せず言えよ」

　その夜は善があれこれと世話を焼いてくれて、甘やかされるのが得意ではない日菜子は少し困ってしまうほどだった。