俺様御曹司の契約妻になったら溺愛過剰で身ごもりました
嫌な胸騒ぎを覚える。見ないほうがいい気がするのに、ふたりから目をそらすことができない。
会社でのふたりとは様子が違う。善の手が南の顎を持ちあげ、まるでキスでもするかのように顔を近づけた。切なげな顔で南は彼を見つめ返す。
(南さん、泣いてる?)
ガラスを隔てているし距離があるから、断言はできないけれど、そんなふうに見えた。
いつも明るい南に涙のイメージはまったくない。ふたりの間に、それだけのことが起きているのだろうか。
ふいに善が顔を動かし、日菜子のいるほうに視線を送ってよこした。日菜子は慌てて、くるりと背を向けた。おそらく気づかれてはいないはずだ。
心臓がバクバクして、息が苦しい。今見たものがどうしても信じられない、脳が理解を拒んでいた。
日菜子は振り返らずに歩き出す。目的のカフェを通りすぎたことにも気づかずひたすらに歩いていると、バッグのなかのスマホが鳴った。取り出して、相手を確認する。
(やっぱり善さんだ)
会社でのふたりとは様子が違う。善の手が南の顎を持ちあげ、まるでキスでもするかのように顔を近づけた。切なげな顔で南は彼を見つめ返す。
(南さん、泣いてる?)
ガラスを隔てているし距離があるから、断言はできないけれど、そんなふうに見えた。
いつも明るい南に涙のイメージはまったくない。ふたりの間に、それだけのことが起きているのだろうか。
ふいに善が顔を動かし、日菜子のいるほうに視線を送ってよこした。日菜子は慌てて、くるりと背を向けた。おそらく気づかれてはいないはずだ。
心臓がバクバクして、息が苦しい。今見たものがどうしても信じられない、脳が理解を拒んでいた。
日菜子は振り返らずに歩き出す。目的のカフェを通りすぎたことにも気づかずひたすらに歩いていると、バッグのなかのスマホが鳴った。取り出して、相手を確認する。
(やっぱり善さんだ)