俺様御曹司の契約妻になったら溺愛過剰で身ごもりました
大きく安堵したのは事実だ。けれど、夕方から今まで南と一緒だったのかと思うと、またモヤモヤが広がっていく。
体質なのか、日菜子のつわりは軽いほうで、翌日は問題なく出勤し仕事をこなすことができた。きちんと産婦人科で検査を受けないといけないことはわかっているのだけれど、気持ちの整理がつかずまだ病院を探してもいなかった。
「はぁ」
思わず大きなため息をこぼす。すると隣の南が心配そうにこちらを見た。
「どうしたの? 暗い顔して……善と喧嘩でもした?」
(善……善さんも〝南〟って呼び捨てにするし)
これまではとくに気にならなかったふたりの親密さが、どうにも引っかかる。無意識のうちに彼女からあの香水の香りがしないか、確かめてしまう。これまでも、今も、南は香水をつけてはいないと思う。でも、それは会社内だけのことかもしれないし、彼女が香水の女性でないと言い切る材料にはならない。
(南さんと善さんはやっぱり恋人同士だったのかな。ううん、過去形じゃなくて今も?)
体質なのか、日菜子のつわりは軽いほうで、翌日は問題なく出勤し仕事をこなすことができた。きちんと産婦人科で検査を受けないといけないことはわかっているのだけれど、気持ちの整理がつかずまだ病院を探してもいなかった。
「はぁ」
思わず大きなため息をこぼす。すると隣の南が心配そうにこちらを見た。
「どうしたの? 暗い顔して……善と喧嘩でもした?」
(善……善さんも〝南〟って呼び捨てにするし)
これまではとくに気にならなかったふたりの親密さが、どうにも引っかかる。無意識のうちに彼女からあの香水の香りがしないか、確かめてしまう。これまでも、今も、南は香水をつけてはいないと思う。でも、それは会社内だけのことかもしれないし、彼女が香水の女性でないと言い切る材料にはならない。
(南さんと善さんはやっぱり恋人同士だったのかな。ううん、過去形じゃなくて今も?)