合意的不倫関係のススメ
変に女子の先輩がいなくてやりやすかったけれど、その分仕事量は意外と多かった。

一緒に入部した友人は、私よりずっと可愛い。よく見れば顔の造形は大したことないけれど、パッと目を惹く魅力があったことは間違いない。そんな彼女は、サッカー部内でも部員達から持てはやされていた。

一方これといって突出した魅力もない平凡な私は、完全に友人の引き立て役。飲み物を配るのは友人、大量のそれを用意しているのは私。けれど誰も、私にはお礼を言わなかった。

そんな私を優しく気遣ってくれたのが、蒼だ。最初は特に興味がなく、サッカー部のマネージャーになった理由も友人の顔を立てる為だった。

けれどそんな私だって、かっこよくて優しい先輩に話しかけられたら、嬉しくないはずはない。

唯一私の頑張りを認めてくれた彼に、私はいとも簡単に恋に落ちた。

人気者の副キャプテンが私なんかを気にしてくれるなんて…と初めは警戒したけれど、蒼が私を特別扱いしてくれるのは素直に嬉しくて。

告白された時は、思わずその場で泣いてしまったくらいだ。
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