合意的不倫関係のススメ
気が付けば昼だった。やけに腰や肩が重く痛くて、そういえばここは漫画喫茶だったと思い出した。
(流石に終わってるよね)
テーブルの上に置かれた携帯の画面は真っ暗。憂鬱な気分で電源を入れた。頭が割れそうに痛い。
(あれ…ない…)
小型カメラの連動アプリが消えている。自分で削除したのだろうけれど、全く記憶になかった。
次に気付いたのは、メッセージアプリの未読表示。その数字があまりにも大きくて驚く。開いてみると、蒼からだった。
ーー茜、まだ帰れそうにないのかな
ーー体調が悪い?飲み過ぎた?
ーー電話繋がらないけど、大丈夫?
ーー心配だから、連絡ください
「……」
きっとこれは、彼の本心。優しいのも気遣いができるのも、別に無理に繕っている訳じゃない。
安心、するべきなのだろう。私はまだ、見捨てられていないと。
彼とは別にもう一通、私が蒼と寝るよう依頼したあの女からもメッセージが来ていた。大方成功したという業務報告だろうと、唇を噛み締めながらタップする。
ーー旦那さんとお幸せに
「…ふざけんな」
思わず声に出してしまった。やり場のない憤りが身体中の血管を駆け巡って、勢いよく外に流れ出してしまうのではないかと思った。
最悪の気分だった。このままどこかへ消え去ってしまいたいくらいに。
(やめた方がよかった?意味なんかあった?)
心の中に重く沈むのは、激しい後悔だけ。嫉妬と恐怖に駆られ、何と馬鹿げたことをしてしまったんだろうと、顔が歪み視界がぼやける。
「泣くなよ…悪いのは自分じゃん…」
やられる前にやっただけ。こっちの方がずっと、傷は浅くて済む。
そう思っていた筈なのに。
「本当…馬鹿過ぎる」
痛くて痛くて、涙が止まらなかった。
(流石に終わってるよね)
テーブルの上に置かれた携帯の画面は真っ暗。憂鬱な気分で電源を入れた。頭が割れそうに痛い。
(あれ…ない…)
小型カメラの連動アプリが消えている。自分で削除したのだろうけれど、全く記憶になかった。
次に気付いたのは、メッセージアプリの未読表示。その数字があまりにも大きくて驚く。開いてみると、蒼からだった。
ーー茜、まだ帰れそうにないのかな
ーー体調が悪い?飲み過ぎた?
ーー電話繋がらないけど、大丈夫?
ーー心配だから、連絡ください
「……」
きっとこれは、彼の本心。優しいのも気遣いができるのも、別に無理に繕っている訳じゃない。
安心、するべきなのだろう。私はまだ、見捨てられていないと。
彼とは別にもう一通、私が蒼と寝るよう依頼したあの女からもメッセージが来ていた。大方成功したという業務報告だろうと、唇を噛み締めながらタップする。
ーー旦那さんとお幸せに
「…ふざけんな」
思わず声に出してしまった。やり場のない憤りが身体中の血管を駆け巡って、勢いよく外に流れ出してしまうのではないかと思った。
最悪の気分だった。このままどこかへ消え去ってしまいたいくらいに。
(やめた方がよかった?意味なんかあった?)
心の中に重く沈むのは、激しい後悔だけ。嫉妬と恐怖に駆られ、何と馬鹿げたことをしてしまったんだろうと、顔が歪み視界がぼやける。
「泣くなよ…悪いのは自分じゃん…」
やられる前にやっただけ。こっちの方がずっと、傷は浅くて済む。
そう思っていた筈なのに。
「本当…馬鹿過ぎる」
痛くて痛くて、涙が止まらなかった。