合意的不倫関係のススメ
「茜」
終業後、軽く化粧直しをして待ち合わせ場所へ向かう。すでに到着していた蒼が、笑顔で手を上げた。
「お疲れ様」
「茜もお疲れ様」
二條さん程ではないにしても、蒼の身長も170後半はある筈。スリムストライプのスーツをさらりと着こなし、爽やかな表情を浮かべる姿は我が夫ながら素敵な男性だと思う。
出会った瞬間から今日この時までずっと、蒼は魅力的な人だ。
「この間話した店に予約入れておいたよ」
「ありがとう、楽しみ」
「行こうか」
ごく自然に、彼が私の手を取る。付き合いから含めると、もう十年。それでもこうして私を女として扱ってくれる蒼は、側から見ればとても貴重な夫なのだろう。
「朝と髪型変えた?可愛い」
「もう、蒼ったら」
「照れてるし」
こんな風に接してくれる彼の隣にいると、自然と綺麗でいたいと思える。子供がいないからというのも大きいけれど、蒼は家事にも協力的だ。だから共働きでも、見た目に気を使う精神的肉体的な余裕が持てるのだ。
可愛い、綺麗だと夫に褒めてもらえることが私の一番の美容方法、なんて。
レストランに到着し、ここでも彼は当然のように奥のソファ席を私に勧めてくれた。
「それでさ、真島のやつ慌てて俺に連絡してきて」
「ふふっ」
然程敷居の高くない落ち着いた空間で、美味しい食事と弾む会話。蒼は、仕事の話や交友関係の話など、躊躇うことなく何でも私に話す。
私は基本的に聞き役だけれど、蒼は空気を読み取り私が話したいだろうと思った時には聞き手に回る。
そうして私達は、十年もの間お互いのことを包み隠さず理解しているのだ。
終業後、軽く化粧直しをして待ち合わせ場所へ向かう。すでに到着していた蒼が、笑顔で手を上げた。
「お疲れ様」
「茜もお疲れ様」
二條さん程ではないにしても、蒼の身長も170後半はある筈。スリムストライプのスーツをさらりと着こなし、爽やかな表情を浮かべる姿は我が夫ながら素敵な男性だと思う。
出会った瞬間から今日この時までずっと、蒼は魅力的な人だ。
「この間話した店に予約入れておいたよ」
「ありがとう、楽しみ」
「行こうか」
ごく自然に、彼が私の手を取る。付き合いから含めると、もう十年。それでもこうして私を女として扱ってくれる蒼は、側から見ればとても貴重な夫なのだろう。
「朝と髪型変えた?可愛い」
「もう、蒼ったら」
「照れてるし」
こんな風に接してくれる彼の隣にいると、自然と綺麗でいたいと思える。子供がいないからというのも大きいけれど、蒼は家事にも協力的だ。だから共働きでも、見た目に気を使う精神的肉体的な余裕が持てるのだ。
可愛い、綺麗だと夫に褒めてもらえることが私の一番の美容方法、なんて。
レストランに到着し、ここでも彼は当然のように奥のソファ席を私に勧めてくれた。
「それでさ、真島のやつ慌てて俺に連絡してきて」
「ふふっ」
然程敷居の高くない落ち着いた空間で、美味しい食事と弾む会話。蒼は、仕事の話や交友関係の話など、躊躇うことなく何でも私に話す。
私は基本的に聞き役だけれど、蒼は空気を読み取り私が話したいだろうと思った時には聞き手に回る。
そうして私達は、十年もの間お互いのことを包み隠さず理解しているのだ。