戻り駅
呆然としてその場に立ち尽くしているとガタンッと汽車の中から音が聞こえてきて、運転席の窓から何かが出てきた。
それは光っていて、透明な羽が生えていて、手のひらに乗るくらいの大きさで、そして六体もいた。
それは羽を羽ばたかせながら私の前まで移動してくると、お行儀良く整列した。
「はじめまして、私たちはこの汽車の精霊です」
一番左端にいるピンク色のワンピースのような服を着た人型が言った。
「精霊……」
私はポカンと口を開けて鸚鵡返しに質問する。
「はい。六体いるのは運転手の体を表現してのことです」
そういうと、ピンクの精霊はひとりひとりを指差して「右腕、左腕、右足、左足、そして胴体。私は頭部です」と、説明していく。
私は口を開けたままでその説明を聞いた。
「久しぶりのお客様なので、私たちもなるべく安全運転で参りたいと思います」
そう言われてさっきまでの蛇行運転を思い出した。確かに、あの調子で運転されると汽車酔いところでは済まされなさそうだ。
「ちょっと待って、この汽車はどこへ向かうの?」
駅舎に『戻り駅』と書いてあったものの、それが美紗の言っていた噂どおりのものなのかどうかもわからない。
「あら? あなたが過去に戻りたいと願ったんですよ?」
ピンク色の精霊が私の目の前まで浮かんで、腕組みをして言った。
どうやら私がこの汽車を呼んだ、ということになっているようだ。
慌てて目の前でパタパタと手を振って「も、もちろん私の願いだよね。でも、その、本当に過去に戻ることができるの? なにか、妙な場所につれていかれたりしない?」と、質問を重ねる。
しかしその質問が余計に失礼なことだったと気がついた。
安にこの汽車の存在を疑っているような質問になってしまった。
それは光っていて、透明な羽が生えていて、手のひらに乗るくらいの大きさで、そして六体もいた。
それは羽を羽ばたかせながら私の前まで移動してくると、お行儀良く整列した。
「はじめまして、私たちはこの汽車の精霊です」
一番左端にいるピンク色のワンピースのような服を着た人型が言った。
「精霊……」
私はポカンと口を開けて鸚鵡返しに質問する。
「はい。六体いるのは運転手の体を表現してのことです」
そういうと、ピンクの精霊はひとりひとりを指差して「右腕、左腕、右足、左足、そして胴体。私は頭部です」と、説明していく。
私は口を開けたままでその説明を聞いた。
「久しぶりのお客様なので、私たちもなるべく安全運転で参りたいと思います」
そう言われてさっきまでの蛇行運転を思い出した。確かに、あの調子で運転されると汽車酔いところでは済まされなさそうだ。
「ちょっと待って、この汽車はどこへ向かうの?」
駅舎に『戻り駅』と書いてあったものの、それが美紗の言っていた噂どおりのものなのかどうかもわからない。
「あら? あなたが過去に戻りたいと願ったんですよ?」
ピンク色の精霊が私の目の前まで浮かんで、腕組みをして言った。
どうやら私がこの汽車を呼んだ、ということになっているようだ。
慌てて目の前でパタパタと手を振って「も、もちろん私の願いだよね。でも、その、本当に過去に戻ることができるの? なにか、妙な場所につれていかれたりしない?」と、質問を重ねる。
しかしその質問が余計に失礼なことだったと気がついた。
安にこの汽車の存在を疑っているような質問になってしまった。