戻り駅
「だね。親友だと思うよ?」


「親友かぁ。じゃあ、私と琴音も親友だね?」


 そう言われて、私は少し照れくさくなりながらもうなづいた。


「美紗、美紗にも話しておきたいんだって」


 声をかけてきたのは誠だった。その後ろには良治の姿がある。


「え、なに?」


 突然のことに瞬きをして、だけど良治を見てほんのりと頬をピンク色に染めている美紗。


その様子を見て私はおや? と感じたけれど、なにも言わなかった。


「実は一週間前に俺の母親が入院したんだ」


 良治の言葉に途端に美紗は真剣な表情になった。


 良治の真面目な顔を見て今回は冗談じゃないとわかったみたいだ。


「入院費と生活費のためにバイトをはじめたんだけど、もしかしたら美紗にも頼ることがあるかもしれないと思って」


 誠は隣でうなづいて、それから私へ向けてウインクしてみせた。


 そっか。


 最初の頃良治は自分の問題を誰にも話さず、一人で解決しようとしていた。だからあいつらの甘い言葉に乗ってしまったのだ。
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