戻り駅
「あぁごめん。そうじゃなくて、だからね」
弁解しようとしてもどうすればいいかわからなくて自体は悪化していくばかり。
「とにかく、乗ればわかりますから」
ピンクの精霊はそう言うと私の手を掴んで車内へと促した。
恐る恐る足を踏み入れた車内は意外にも普通だった。
エンジ色の生地の座席は落ち着いた雰囲気だし、天井から降り注いでくるオレンジ色の照明も心地よさを感じる。
「ボックス席しかないんだ」
呟くと後ろから追いかけてきた精霊のひとりが「当たり前だろ」と笑う声が聞こえてきた。
そして、私が席に座ると同時に扉が閉められた。
椅子の座り心地はあまりよくないが、学校の木の椅子に直接座っていることを考えると随分マシだ。
窓は下の摘みを掴んで上に押し上げるタイプのものだ。
これ、本当に汽車なんだ。
感心していると汽笛が鳴らされて汽車が走りだした。
強烈な揺れを予想して身構えたけれど、それはゆっくりと線路に沿って動いている。
さっきここへきたときのようなことはなさそうで、ホッと胸を撫で下ろして全身の力を緩めた。
「次は一時間前駅。一時間前駅です」
不意に汽車の中にアナウンスが流れる。
一時間前駅ということは、一時間過去に遡ることができるということだろうか?
一時間分戻ればあの事故余裕で防ぐことができる。私はギュッと手を握り締めて、永遠に広がる麦畑を車窓から見つめていたのだった。
弁解しようとしてもどうすればいいかわからなくて自体は悪化していくばかり。
「とにかく、乗ればわかりますから」
ピンクの精霊はそう言うと私の手を掴んで車内へと促した。
恐る恐る足を踏み入れた車内は意外にも普通だった。
エンジ色の生地の座席は落ち着いた雰囲気だし、天井から降り注いでくるオレンジ色の照明も心地よさを感じる。
「ボックス席しかないんだ」
呟くと後ろから追いかけてきた精霊のひとりが「当たり前だろ」と笑う声が聞こえてきた。
そして、私が席に座ると同時に扉が閉められた。
椅子の座り心地はあまりよくないが、学校の木の椅子に直接座っていることを考えると随分マシだ。
窓は下の摘みを掴んで上に押し上げるタイプのものだ。
これ、本当に汽車なんだ。
感心していると汽笛が鳴らされて汽車が走りだした。
強烈な揺れを予想して身構えたけれど、それはゆっくりと線路に沿って動いている。
さっきここへきたときのようなことはなさそうで、ホッと胸を撫で下ろして全身の力を緩めた。
「次は一時間前駅。一時間前駅です」
不意に汽車の中にアナウンスが流れる。
一時間前駅ということは、一時間過去に遡ることができるということだろうか?
一時間分戻ればあの事故余裕で防ぐことができる。私はギュッと手を握り締めて、永遠に広がる麦畑を車窓から見つめていたのだった。