戻り駅
「どうした?」
「ううん。ちゃんと確認してから渡ったほうがいいと思って」
私がそう言うと誠は笑顔になり「琴音って心配性だよな。信号は青なんだから大丈夫だって」と声をかけてくる。
しかし無理に渡ろうとはせず、私と一緒に左右を確認してくれた。これなら大丈夫そう。
一安心して一歩踏み出したそのときだった。
曲がり角から急に出てきた車が視界に入った。
「危ない!」
誠が叫んで私の手を引き、校門の中へと引き返す。
それでも車は勢いを殺さず更には蛇行しながら横断舗装へと近づいてくる。
横断歩道の中央には美紗の姿。美紗は車の騒音に驚いて立ち止まってしまっている。
「美紗!!」
咄嗟に声を張り上げていた、
目を丸くした美紗が振り返る。
次の瞬間白いクルマが大きくスピンしながら横断歩道へ入ってくるのが見えた。
美紗の体はクルマのボディにぶつかり、跳ね飛ばされる。道の反対側にある民家に壁にぶつかり落下する。
その間白い車は灰色のケムリを吹き上げながらその場から逃走してしまっていた。
悲鳴や喧騒がどこかとおくのことのように聞こえてくる。
「美紗!」
隣にいた誠が叫んで駆け出したことで、ようやく私の時間も動き出す。
しかし走ることができなかった。今にも膝からくずれ落ちてしまいそうだ。
どうにか足を動かして事故現場へと近づいていくと、タイヤの焼ける臭いと血の匂いが混ざり合い、鼻腔を刺激した。
美紗の体はクルマにぶつかられた衝撃で折れ曲がり、血に混じって内臓が飛び出しているのが見えた。
ひと目ですでに生きていないことがわかった。
「ううん。ちゃんと確認してから渡ったほうがいいと思って」
私がそう言うと誠は笑顔になり「琴音って心配性だよな。信号は青なんだから大丈夫だって」と声をかけてくる。
しかし無理に渡ろうとはせず、私と一緒に左右を確認してくれた。これなら大丈夫そう。
一安心して一歩踏み出したそのときだった。
曲がり角から急に出てきた車が視界に入った。
「危ない!」
誠が叫んで私の手を引き、校門の中へと引き返す。
それでも車は勢いを殺さず更には蛇行しながら横断舗装へと近づいてくる。
横断歩道の中央には美紗の姿。美紗は車の騒音に驚いて立ち止まってしまっている。
「美紗!!」
咄嗟に声を張り上げていた、
目を丸くした美紗が振り返る。
次の瞬間白いクルマが大きくスピンしながら横断歩道へ入ってくるのが見えた。
美紗の体はクルマのボディにぶつかり、跳ね飛ばされる。道の反対側にある民家に壁にぶつかり落下する。
その間白い車は灰色のケムリを吹き上げながらその場から逃走してしまっていた。
悲鳴や喧騒がどこかとおくのことのように聞こえてくる。
「美紗!」
隣にいた誠が叫んで駆け出したことで、ようやく私の時間も動き出す。
しかし走ることができなかった。今にも膝からくずれ落ちてしまいそうだ。
どうにか足を動かして事故現場へと近づいていくと、タイヤの焼ける臭いと血の匂いが混ざり合い、鼻腔を刺激した。
美紗の体はクルマにぶつかられた衝撃で折れ曲がり、血に混じって内臓が飛び出しているのが見えた。
ひと目ですでに生きていないことがわかった。