戻り駅
なにせ誠は背が高く顔立ちも整っていて、スポーツもできて、とにかく女子生徒の注目の的だった。
そんな誠に相手にされるはずがないと遠目から見ているだけだったけれど、ある雨の日、決定的な出来事が起こったのだ。
それは二年に上がって二日目のことだった。
普段は朝テレビニュースで天気を確認してから学校に来ている私だけれど、その日は珍しく天気を確認しなかった。
お父さんの好きな野球チームが前日に試合を行っていて、その結果を見ていたからだ。
空はよく晴れていたし、とくに気にすることもなく私はそのまま外へ出た。
しかし、授業が終わるころになると信じられないほどの大雨になっていたのだ。
昇降口でひとり呆然として空を見上げていたときに、後ろから声をかけてくれる人がいた。それが、誠だったのだ。
誠は大きな黒い傘を差し出してくれて、家まで送ってくれたのだ。
あの憧れの誠とのはじめての相合傘。
そして私たちが急激に近くなる出来事だった。
「なにボーっとしてんの?」
美紗の声にハッと我に帰って瞬きをした。
あの時のことは本当に素敵で、何度でも思い出してしまう。
もしも過去に戻ることができるなら、もう一度あの時のことを経験したいとさえ思う。
「な、なんでもないよ。それで、なんの話だっけ?」
慌てて取り繕って質問をする。
私が過去にどっぷりはまっている間に美紗は話題を変えていたようだ。
「だーかーら! 戻り駅の噂のこと!」
そんな誠に相手にされるはずがないと遠目から見ているだけだったけれど、ある雨の日、決定的な出来事が起こったのだ。
それは二年に上がって二日目のことだった。
普段は朝テレビニュースで天気を確認してから学校に来ている私だけれど、その日は珍しく天気を確認しなかった。
お父さんの好きな野球チームが前日に試合を行っていて、その結果を見ていたからだ。
空はよく晴れていたし、とくに気にすることもなく私はそのまま外へ出た。
しかし、授業が終わるころになると信じられないほどの大雨になっていたのだ。
昇降口でひとり呆然として空を見上げていたときに、後ろから声をかけてくれる人がいた。それが、誠だったのだ。
誠は大きな黒い傘を差し出してくれて、家まで送ってくれたのだ。
あの憧れの誠とのはじめての相合傘。
そして私たちが急激に近くなる出来事だった。
「なにボーっとしてんの?」
美紗の声にハッと我に帰って瞬きをした。
あの時のことは本当に素敵で、何度でも思い出してしまう。
もしも過去に戻ることができるなら、もう一度あの時のことを経験したいとさえ思う。
「な、なんでもないよ。それで、なんの話だっけ?」
慌てて取り繕って質問をする。
私が過去にどっぷりはまっている間に美紗は話題を変えていたようだ。
「だーかーら! 戻り駅の噂のこと!」