戻り駅
 もし次もダメだったら?


 また誠が私の目の前で死んでしまったら?


 今度こそ、耐えられないかもしれない。


 こぼれだした涙を止めることができなくて立ち止まったままでいるよ、運転席から様子を見ていたほかの精霊たちも心配して飛び出してきた。


 そして私の涙を両手一杯に受け止める。


「大丈夫、きっと次はうまくいくよ」


「そうならなくても、私たちはここにいるから」


 そう声をかけてくれて、涙を救われるたびに不思議な気分になっていった。


 今まで怖くてどうしようもなかった気持ちが、少しずつ元気になっているのだ。気がつけば涙は引っ込んでいて、私は六人の精霊たちを見つめた。


「みんな、ありがとう」


 そう言って自然な笑顔を浮かべることもできたときには私自身が驚いた。


「頑張って、だけど無理はしないでね」


「無理だったら、また戻っておいで」


「うん。みんなありがとう、行ってきます!」


 私は六人の不思議な精霊たちに元気をもらい、五時間前駅から外へ出たのだった。
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