戻り駅
「あの、ちょっと変な質問があるんだけど、いい?」


 私は良治と一緒に教室の隅へ移動してそう切り出した。


「質問? 勉強のこととかならやめてくれよ? 俺全然わかんねぇから」


「そういうんじゃないの。あの……良治って誠と仲良いよね?」


「誠? あぁ、いいけど? もしかして誠が浮気してないか、とか?」


 私は強く左右に首を振った。誠がそんなことをする人じゃないということは、私が一番よくわかっている。


 だけど、これから起こる出来事を知っているから、浮気程度の悩みならどれだけ楽だろうかと思ってしまう。


「そうじゃなくてね。最近誠と良治の間でトラブルとかなかった?」


「トラブル?」


 良治は眉間にシワを寄せて腕組みをした。


「別になにもないけど、どうして?」


「本当に? 本当になにもない?」


「なにもないよ。一体どうしたんだ?」
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