戻り駅
☆☆☆

 どうして良治は突然私に話しかけてきたりしたんだろう?


 一度目ではそれほど気にしていなかった出来事が、今回はやけに気になった。


 誠も良治の変化に気がついているようで、休憩時間のたびに良治に話しかけている。まるで、良治をひとりにしたらなにかよくないことでも起こるかのように。


「今日の誠はあんまり琴音をかまってくれないみたいだね」


 昼休憩に入ると美紗がそんなことを言ってきた。


 いつもは昼になると誠も入れて三人でご飯を食べているけれど、今日は誠は良治と一緒に食堂へ行ってしまった。


 それを見ていた美紗は私と誠が喧嘩でもしたのではないかと、心配しているみたいだ。


「そうだね。でも喧嘩なんてしてないから大丈夫だよ」


「そうなんだ? それならいいんだけどね」


「誠だってたまには男友達と一緒にいたいんだよ。私だって美紗と一緒にいたいしさ」


 お弁当の中から卵焼きを選んで口に運びながら私は言う。


美紗は満面の笑みを浮かべて「それはどうも」と、嬉しそうに答えたのだった。
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