戻り駅
☆☆☆
放課後になっても誠は良治を誘ってさっさと教室を出て行ってしまった。
事前に今日は一緒に帰れないと伝えられていた私は、二人の後ろ姿を見送ってからそっと教室から出た。
二人きりになってどんな話をしているんだろう。その会話の中に重大なヒントが隠されているに違いない。
後を追いかけて校門を抜けると二人はちょうど信号機で立ち止まっていた。そこは誠と美紗が車にひかれて死んだ場所で、一瞬胸が詰まって呼吸が苦しくなった。
大きく深呼吸をして自分の気持ちを落ちつかせる。確実に生きている誠の後姿を見ることで、少しだけ安心できた。
誠はまだ死んでいない。
これから私があの映画のように誠を助けるから、だからきっと大丈夫だ。自分自身に言い聞かせていると信号機は青に変わって二人は同時に歩き出した。
私は他の生徒たちに紛れながら二人の後を追いかける。
耳をそばだてていると、どうにか二人の会話が聞こえてきた。
「今日はどうしたんだよ、あんなに琴音に話しかけて。まさか、好きになったとか言うなよ」
誠が冗談っぽくそう言っているのが聞こえてきて少しだけ心臓がはねた。
まさか、良治が私のことを好き?
そう考えてすぐに左右に首を振ってその考えを否定した。
そんなことはないはずだ。
放課後になっても誠は良治を誘ってさっさと教室を出て行ってしまった。
事前に今日は一緒に帰れないと伝えられていた私は、二人の後ろ姿を見送ってからそっと教室から出た。
二人きりになってどんな話をしているんだろう。その会話の中に重大なヒントが隠されているに違いない。
後を追いかけて校門を抜けると二人はちょうど信号機で立ち止まっていた。そこは誠と美紗が車にひかれて死んだ場所で、一瞬胸が詰まって呼吸が苦しくなった。
大きく深呼吸をして自分の気持ちを落ちつかせる。確実に生きている誠の後姿を見ることで、少しだけ安心できた。
誠はまだ死んでいない。
これから私があの映画のように誠を助けるから、だからきっと大丈夫だ。自分自身に言い聞かせていると信号機は青に変わって二人は同時に歩き出した。
私は他の生徒たちに紛れながら二人の後を追いかける。
耳をそばだてていると、どうにか二人の会話が聞こえてきた。
「今日はどうしたんだよ、あんなに琴音に話しかけて。まさか、好きになったとか言うなよ」
誠が冗談っぽくそう言っているのが聞こえてきて少しだけ心臓がはねた。
まさか、良治が私のことを好き?
そう考えてすぐに左右に首を振ってその考えを否定した。
そんなことはないはずだ。