戻り駅
 けれど、なにか嫌な予感が胸に膨らんでいき、私はスマホを取り出していた。


《琴音:今日は学校に来ないの? なにかあった?》


 良治へ向けてメッセージを送ると、すぐに返事が来た。


《良治:心配してくれてありがとう。ちょっと風邪を引いただけだから大丈夫だよ。それより今度二人で遊びに行かない?》


 その内容に私は唖然としてしまった。


 風邪だと言いながら遊びに誘われたことに驚き、スマホを取り落としてしまいそうになった。それになにより、良治は他校に彼女がいると言っているのだ。やっぱりあれは誠の言うとおりデマだったのかもしれない。


 考え込んでいると不意に後方に人の気配がして振り返った。そこには誠が立っていて、思わず悲鳴を上げてしまいそうになった。一体いつからそこに立っていたんだろう。


 後ろからメッセージの内容を読まれていたようで、その表情は険しかった。


「良治からのメッセージ?」


「う、うん」


 私は自分が悪いことをしてしまった気分になり、ぎこちなくうなづく。


「良治には関わらないほうがいい」


「え?」


 その言い方は誠はなにかをしているような雰囲気だった。だけど昨日の帰り道の様子では、なにも知らない感じがした。


 まさかあの後なにかがあったのかもしれない。
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