戻り駅
 自惚れしているわけではないけれど、学校内では俺が一番良治と仲がいいと思っていた。


良治がなにか相談事をするなら真っ先に俺を選んでくれる。そう思っていたことは事実だった。


 だけどそうじゃなかったことに少なからずショックを受けていた。


 良治には俺意外に親友と呼べる人物がいつのかもしれない。そっちに相談をしているなら無理に聞き出すつもりはなかった。


 でも、そうじゃないとするなら……。


 そこまで考えたとき、テーブルの上に置きっぱなしになっていた良治のスマホが震えた。


視線を向けると画面にメッセージが表示されている。


 一瞬見てしまってもいいのだろうかと逡巡した。


 だけどこれは不可抗力だ。


 良治が本当に見られたくないような内容のメッセージなら、見なかったことにすればいい。


 自分にそう言い聞かせて、俺は良治のスマホへ視線を向けた。


《全部で一.三だ。ただ可愛い女子高生を紹介してくれればお前の取り分を増やしてやってもいいぞ》


 その文章は意味不明だった。


 表示されていたメッセージはすぐに消えて画面は暗転し、俺はただただ首をかしげた。


一.三とはなんのことだろう?


 どこかで見たことのある数字である気がして記憶を探る。
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