戻り駅
☆☆☆
一.三その数字は思いがけないところで耳に入ることになった。
それは翌日の朝のことだった。
いつもかかっているニュース番組を見るともなしに見て、聞くともなしに聞いていたときのことだ。
『優良銀行から強奪された現金は一億三千万円に登るといわれており――』
それは最近近くで起こった銀行強盗のニュース番組だった。
一億三千万。
その数字が耳に入った瞬間俺は箸で掴んでいたウインナーをテーブルの上に落としていた。
「もう、なにしてるのよ」
母親が文句を言って台拭きを差し出してくるのを無意識のうちに受け取り、視線はずっとテレビに釘付けになっていた。
《全部で一.三だ。ただ可愛い女子高生を紹介してくれればお前の取り分を増やしてやってもいいぞ》
うそだ、まさか良治が銀行強盗に関わっているなんて、そんなのありえない。
だけどここ最近の良治はどう見ても様子がおかしいし、昨日見たメッセージを思い出すと当てはまることが多すぎた。
可愛い女子高生を紹介してくれれば取り分を増やしてやる。
その文面に全身に鳥肌がたった。
良治の仲間は良治に駆け引きを持ちかけている。
一.三その数字は思いがけないところで耳に入ることになった。
それは翌日の朝のことだった。
いつもかかっているニュース番組を見るともなしに見て、聞くともなしに聞いていたときのことだ。
『優良銀行から強奪された現金は一億三千万円に登るといわれており――』
それは最近近くで起こった銀行強盗のニュース番組だった。
一億三千万。
その数字が耳に入った瞬間俺は箸で掴んでいたウインナーをテーブルの上に落としていた。
「もう、なにしてるのよ」
母親が文句を言って台拭きを差し出してくるのを無意識のうちに受け取り、視線はずっとテレビに釘付けになっていた。
《全部で一.三だ。ただ可愛い女子高生を紹介してくれればお前の取り分を増やしてやってもいいぞ》
うそだ、まさか良治が銀行強盗に関わっているなんて、そんなのありえない。
だけどここ最近の良治はどう見ても様子がおかしいし、昨日見たメッセージを思い出すと当てはまることが多すぎた。
可愛い女子高生を紹介してくれれば取り分を増やしてやる。
その文面に全身に鳥肌がたった。
良治の仲間は良治に駆け引きを持ちかけている。