戻り駅
良治が学校でやけに琴音に話しかけているところを見たのは、この日のことだった。普段は二人で会話することなんて滅多にないのに。
まさか良治はあの提案を受け入れ、そして琴音を選んだんじゃないか?
最悪な事態が脳裏によぎり、その日一日俺は警戒して良治のことを観察していた。
良治は相変わらずこそこそとスマホをつつき、ときにひどく険しい表情を浮かべたり、困ったように頭をかいた。
あんな大きな犯罪を犯した後なのだ。金銭の山分け意外にも沢山の問題を抱えているに違いない。
最初俺は良治の悩みを聞いてやりたいと思っていた。良治の力になりたいと。
だけど今は俺の力程度じゃどうにもならなことがわかってしまった。
それよりも琴音の身に危険が降りかかっているかもしれないという危機感のほうが強くなった。
だからこの日、俺は自分から良治を誘って一緒に帰ることにしたんだ。
何気ないふりをして、良治の思惑を聞き出すことができればいいと思った。
「今日はどうしたんだよ、あんなに琴音に話しかけて。まさか、好きになったとか言うなよ」
軽い感じでそう質問をしたのだけれど、琴音からメッセージをもらったからその返事をしただけだと、はぐらかされてしまった。
だけど俺には琴音に近づこうとしているようにしか見えなかった。
良治はこの日も帰りながら何度もスマホを確認していたのだった。
まさか良治はあの提案を受け入れ、そして琴音を選んだんじゃないか?
最悪な事態が脳裏によぎり、その日一日俺は警戒して良治のことを観察していた。
良治は相変わらずこそこそとスマホをつつき、ときにひどく険しい表情を浮かべたり、困ったように頭をかいた。
あんな大きな犯罪を犯した後なのだ。金銭の山分け意外にも沢山の問題を抱えているに違いない。
最初俺は良治の悩みを聞いてやりたいと思っていた。良治の力になりたいと。
だけど今は俺の力程度じゃどうにもならなことがわかってしまった。
それよりも琴音の身に危険が降りかかっているかもしれないという危機感のほうが強くなった。
だからこの日、俺は自分から良治を誘って一緒に帰ることにしたんだ。
何気ないふりをして、良治の思惑を聞き出すことができればいいと思った。
「今日はどうしたんだよ、あんなに琴音に話しかけて。まさか、好きになったとか言うなよ」
軽い感じでそう質問をしたのだけれど、琴音からメッセージをもらったからその返事をしただけだと、はぐらかされてしまった。
だけど俺には琴音に近づこうとしているようにしか見えなかった。
良治はこの日も帰りながら何度もスマホを確認していたのだった。