戻り駅
☆☆☆
自転車で車を追いかけるなんて無謀なことだと思っていたが、幸いにも車は何度も信号機に捕まって止まってくれたのでなんとか追いつくことができていた。
そしてたどり着いたのは学校裏の林を抜けた先にある空き地だった。
この周辺は空き家や空き地が多く、あまり治安はよくない。悪い連中がよくタムロしているという噂の絶たない場所だった。
こんなところでなにをするんだ?
自転車を林の中に隠すように止めて、空き地の隣にある空き家の庭から耳を済ませた。
空き地と空き家の間には高い塀があるから、気がつかれることはないはずだ。
空き家は今にも崩れ落ちてしまいそうで、庭の草は腰の高さまで茂っている。
やぶ蚊も多くて嫌な気分になったが、車のドアが開閉される音が聞こえてきて気を引き締めた。
「で、いい女はいるのか?」
聞いたことのない声が聞こえてくる。野太いその声は運転手のものだとすぐにわかった。
「あぁ。同じクラスの琴音っていう女だ」
良治の口から琴音の名前が出てきて思わず声を上げてしまいそうになった。グッと奥歯をかみ締めて声を殺し、会話に耳を傾ける。
「写真はないのか?」
「ある」
自転車で車を追いかけるなんて無謀なことだと思っていたが、幸いにも車は何度も信号機に捕まって止まってくれたのでなんとか追いつくことができていた。
そしてたどり着いたのは学校裏の林を抜けた先にある空き地だった。
この周辺は空き家や空き地が多く、あまり治安はよくない。悪い連中がよくタムロしているという噂の絶たない場所だった。
こんなところでなにをするんだ?
自転車を林の中に隠すように止めて、空き地の隣にある空き家の庭から耳を済ませた。
空き地と空き家の間には高い塀があるから、気がつかれることはないはずだ。
空き家は今にも崩れ落ちてしまいそうで、庭の草は腰の高さまで茂っている。
やぶ蚊も多くて嫌な気分になったが、車のドアが開閉される音が聞こえてきて気を引き締めた。
「で、いい女はいるのか?」
聞いたことのない声が聞こえてくる。野太いその声は運転手のものだとすぐにわかった。
「あぁ。同じクラスの琴音っていう女だ」
良治の口から琴音の名前が出てきて思わず声を上げてしまいそうになった。グッと奥歯をかみ締めて声を殺し、会話に耳を傾ける。
「写真はないのか?」
「ある」